丸木文華「queen」感想

だいぶ前に買っていたのをやっと読んだ。

やっぱり丸木文華作品はエッチで最高。

*感想にネタバレを含みます

あらすじ

どうでもええ。俺には椿様がおればええ。

人魚の宝が眠るとされる『夜海島』。その島の網元の娘・椿は、得体の知れない妾の子として、島民の羨望と嘲笑とを同時に集めていた。だが彼女には、逞しくも美しい“狂犬”が常に寄り添っている。8年前島に流れ着き、椿によって助けられた記憶喪失の青年・潮だ。閉鎖的な島で、椿は彼にだけ心を開き、彼も盲目的に椿を崇拝していた。互いに恋情を抱きつつ、主従の関係を貫いてきた二人。しかしある出来事をきっかけに、官能の深みにはまってゆき――。

寡黙な狂犬と妖艶な網元の娘の、明治純愛怪奇譚!

 *1

感想

序盤、結構ヒロインの状況が不遇というか、不遇という言葉で収まらないような要素がたくさんあるため(ヒロイン→父親への嫌々ながらの踏み付けプレイ、モブからの性的揶揄、兄→ヒロインのレイプ未遂など)、割と読むのがつらかった…けど、まあこのあたりは、椿と潮の関係性を密なものにするためのフレーバーだし、合間あいまに二人が健全に親密である様子が描写されて癒されるので、続きのために読めてしまうくらいの辛さではある。

そのあたりが終わると、もう二人がどんどん快楽に溺れていってしまってね~~~フィーバータイムだね~~~それまで島民に「あの二人どうせヤリまくってんだろ笑」と言われながらもキスさえしたことのない関係性を保ち続けていて、そのことに若干の誇りもあったであろう二人が、暇さえあればセックスセックスという状態に陥っていくエロさよ…。それまでの健全な関係性から一転して、というコントラストでより興奮するわ…。

あとまた挿絵が最高で、セックスシーンの肉体の美しさ・表情の艶めかしさはもちろんなんだけど、肉体関係を持つ前の椿が潮をよしよししている段階で、すでに潮の表情にめちゃくちゃ色気がある。個人的には、宴の後にセックスにいそしむシーンの挿絵で、椿様が若干微笑んでいるところの表情がすごく好き。

執着要素は少なめだったかな。どこにも行かんでくれ、とか他の男としゃべらんでくれ、と言いながらの激しめプレイとかはあったけど、椿も潮も分別があるのでその場限りといった感じ。男の執着を期待して読み始めたので、このあたりが物足りないような気もするけど、立場として椿が潮の上位にあることを考えると、まあそんな感じにはなるよな、というのと、男の執着をよしよしプレイでたしなめられるというのもそれはそれで萌えがある。のでよし。

そんな感じでエロいし興奮するしで最高ではあったんだけど、最後の方の人魚のくだりはなんかいきなりすぎな感じがしたな。いや二人が人魚であることについては、それまでにフラグが何個かあったしわかるんだけど、椿の母が人食い人魚であったとかのあたりがなんか急に出てきた…となってしまった。私がどこかで出てたフラグを読み落としてるのかもしれないけど。

このあたりのもろもろで、若干すっきりしないところもあるんだけど、マーーージでめちゃくちゃエロくて最高!!!という気持ちを与えてくれてありがとうございました。(オタク特有の謎の感謝)

*1:公式サイトから引用