Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 12122020

すごく面白かった。

坂本龍一さんの曲をなんとなく好きだなーというレベルで、有名どころをたまに聞くくらいなんだけど、これまたなんとなく配信を見てみたらすごく面白かった。

今回メジャーな曲中心ということで、知っている曲が多かったから、その曲を初めて聴いたときとか日常の中で聴いたときとかの記憶がよみがえってきて、より感情に訴えかけてくる面もあったんだけど、演奏と構成と演出とが素晴らしくて楽しかった。

個人的にセトリの緩急がよくて、静か・穏やかという雰囲気の導入、緊張感のある中盤、収束し観客を日常へ戻していく終盤で、配信という観客の日常をベースにして存在する形式のライブにすごくぴったりな構成だったと思う。

それと映像がものすごくよかった。曲の雰囲気に合っている・曲の魅力を高めているというのはもちろんで、特にenergy flowのときに忙しない都心の背景が映し出されることで、より曲が持つ寂寥感が増す、というのは見事だった。それと水の中のバガテルあたりだったかな?で、雨が静止して水滴の一つ一つが発光するという演出が素敵だった。

この部分に加えて、ライティングによる映像のメリハリのつけ方が最高だった。色を変えるとかシーンをがらっと切り替えるとかでなく、明暗によって景が変わっていくの、ものすごく好き。UEを使ってるとのことだったけど、あんなに素晴らしいライティングができるのか…すごい…そしてたぶん坂本さんにレイヤーをかぶせて坂本さん自身が映像に溶け込むように明度やら彩度やらを調整していたと思うんだけど、このおかげで坂本さんが違和感なく映像に溶け込んでて、映像の世界観への没入感がすごかった。

それとこれは売りにしていた部分なので当たり前のことかもしれないけど、本当に音質がすごい。最後の、ものをぶつけて音を鳴らす部分で、陶器がぶつかりあったときの音の余韻まで聞こえてきて感動した。

 

ライブの内容に関係ないけどこのライブを見て思ったのは、ピアノってめちゃめちゃ音域広いな…ということ(当たり前)。最近Jポップの曲ばかり聴いていたので、これだけ幅広い音を聴くというのが新鮮で、音域が広いと一つの曲の中でもこれだけ雰囲気が変わるんだ…という10000000年前には知られていたであろうことを2020年に感じた。

もっとピアノ曲聴きたいな。